こんにちは、ぱぱ記者Kenです。
再生医療に新しい道を開く可能性がもうすぐ実現しようとしているというお話しをします。
虚血性疾患、特に足の動脈硬化の懸念のある人には朗報になるかもしれません。
人間の体内にある臓器や細胞の中で、肝臓は再生しやすい臓器であることはすでに知られています。その肝臓から発見されたのが肝細胞増殖因子(Hepatocyte Growth Factor:HGF)と名付けられた因子で、この肝細胞増殖因子は、肝臓のみならず、血管、リンパ管、神経など生体の様々な臓器・組織の形成・再生において主要な役割を果たしていることがわかりました。
その後、1995年になって、大阪大学の森下竜一教授らの研究チームにより、HGFに「血管を新生する」能力があることが発見され、血管が詰まり血流が悪くなっている虚血性疾患に対し「血管を新生する」というこれまでにない作用を有する治療薬「HGF遺伝子治療薬」の開発が始まりました。

大阪大学の森下竜一教授
虚血性疾患のわかりやすい病状は、脳梗塞や心筋梗塞で、HGF遺伝子治療薬はそれらにも効果があるだろうと言われていますが、脳や心臓の疾患に対して治験を行うのは難しく、まだその世界では理論上でしか効果があると言えない状況です。
しかし、それ以外に足の動脈硬化に対してもHGF遺伝子治療薬は特段の効果があるということがわかってきています。国内に足の動脈硬化患者は400万人いると推定され、そのうち300万人は症状がない状態であると推測されています。30人に一人が罹患していて、そのうち25人は症状がないので、あなたや家族、近しい人も罹患している可能性があります。そのため、この話は他人事ではなく、あなたやあなたの家族の未来の健康に大きく関わってくる可能性のある話なのです。
これまで、動脈硬化に対して治療方法としては、早い段階であれば、詰まった場所を広げる、バルーン療法やバイパス手術で治療できましたが、重症になると、そういう治療ができなかったり、あるいは治療が間に合わないようなことになる方が沢山いました。そこに血管を再生することができればそうした方々も治療ができるようになるのです。
HGF遺伝子治療薬の使い方は、血管を再生させたい場所に、遺伝子の形で投与して、そこだけで血管を再生させます。その方法は遺伝子を直接注射するというやり方で、プラスミドDNAというものを使う方法を採用しています。コロナの際に利用したRNAワクチンだと発熱や吐き気などの副作用がありましたが、プラスミドDNAは副作用が少なく、安全に治療が行えることが臨床試験で確認されているのです。
近年までHGF遺伝子治療薬の研究がなかなか進まなかったのですが、コロナが発生し、ワクチンの摂取やDNAを活用するという行為が、かなり一般の間で認知されてきたことで、研究が大きく前進し、現在アメリカでFDAからの認可を得て、臨床試験を終えて、生産ラインの確保の段階に入っています。
今後、アメリカで正式に認可されて、販売が開始され、HGF遺伝子治療薬で潰瘍が治るという治療の効果が明らかになってくると、改めて日本でも認可の道が開けてきます。
少し話はそれますが、日本ではIPS細胞の研究がかなり取り上げられていて、最先端をいっているように感じます。しかし、世界の潮流は「細胞」ではなく「遺伝子」を使った治療法が主流で、そちらの方が簡単で安全、そして費用も抑えられることが判ってきています。徐々に日本も細胞から遺伝子に移行しようとしているようですが、政治的な力も働いてなかなか前に進んでいかないのが現場なのです。これもHGF遺伝子治療薬が日本で最終的な認可まで行かなかった理由の一つでもあるのです。
さて、話を元に戻すと、足の動脈硬化は、早期に治療すれば問題ありませんが、手遅れになると足の切断や生命に関わる危険な病気なのに、これまで重症化してしまうと治療する方法がなかったので、今回のHGF遺伝子治療薬を使った血管の再生という治療法はかなり画期的な方法になります。
医学的に大発見であり、その治療法が認可されるとかなり多くの人の生命が救われ、それ以上の人が健康な生活を取り戻すことが出来るようになる夢のような治療薬がHGF遺伝子治療薬なのです。
HGF遺伝子治療薬は、国内初の遺伝子治療用製品で、世界初のプラスミド(DNA分子)製品で、世界初のHGF実用化製品で、世界初の末梢血管を新生する治療用製品で、世界初の循環器医療領域での治療用製品という、一つの日本初と4つの世界初を獲得している優れた薬品なのです。
数年後には国内でも認可されることを期待したいものです。
HGF遺伝子治療薬に関しては、開発を行ったのが大阪大学発の医療ベンチャー企業のアンジェス株式会社。すでに株式も上場している点では成功したベンチャー企業とも言えますが、財務的に利益を出しているとは言えないので、ここからが正念場になります。
海外の医療系ベンチャー企業と比べると研究開発費を集めるのが大変で、本来なら海外のライバルと競争出来るようなビジネス環境ではないにもかかわらず、ここまで研究を継続してHGF遺伝子治療薬の開発に成功し、臨床試験にも合格していて、今後が楽しみな企業なのです。
同社が成功すれば、今後後に続く医療系ベンチャー企業が増えるかもしれませんし、研究開発型の企業に長期目線で投資する投資家や機関投資家が現れる可能性も増加するかもしれないので、患者の治療と未来への希望だけでなく、医療ベンチャー界にも未来への扉を開けてくれるかもしれないのです。
医療界の未来を背負うHGF遺伝子治療薬に乞うご期待!

