こんにちは、ぱぱ記者Kenです。
あべのハルカス美術館にて「深堀隆介展 水面のゆらぎの中へ」が2025年7月5日~9月7日の期間で開催中です。升に入った金魚、と言えば多くの方が「ああ、あれか!」と思うのではないでしょうか?
そう、それなんです。
2000年から金魚にフォーカスし、2002年には2.5次元ペインティングという特殊な技法を編み出した深掘さん。金魚のために描いた技法が結果的にこの2.5次元ペインティングだったのです。この技法だとひれの影や金魚の内臓まで透けて見せることが出来るのです。見えないものを見えるようにする、というところに拘ったからこそ生み出された技法だったそうです。
積層することで絵を描き上げていく技法は、樹脂の上に絵を描くわけですが、深堀さんはその層の表面を水面と捉えていて、水面の上に金魚を描き、その上に樹脂を重ねて、また新たな水面の上に絵を描く、ということを繰り返すと、水面がどんどん上がってきて、樹脂の下に描いた絵には自分ですら触れなくなります。この水面を境に、自分たちの世界と魚の世界が区別されていると考えているのです。
「深堀隆介展 水面のゆらぎの中へ」は初期の頃の作品から最新のインスタレーション作品まで揃っている展示会で、大阪ではこの規模の大型展示は初めて。ワクワクしていて大阪の人にみてもらえるということでエキサイトしているそうです。
金魚は、人間が鮒を改良して生み出した生き物なので、すごく種類の多い魚。そのせいか人が金魚を想像すると様々なイメージが出てきます。そのため、深掘さんは、金魚を描く時、何かを見たりせずに、自分の想像の世界の金魚を描いています。だから彼の描く金魚はこの世に存在しないものばかりなんです。あれだけリアルな絵になっているのに存在しないなんて不思議です。
創作活動の初期は、魚をモチーフにしたオブジェを作ったりしていたそうですが、どれもピンとこず、自分ならではの技法を探していました。
そんな時期に畳に描いた金魚の絵が注目を浴びたり、金魚を水槽の上から見た時の美しさに惹かれたり、樹脂を扱う会社で働いていた経験から、金魚と樹脂をミックスすることを思いつき、独自の世界を生み出しました。
このように幾つかのことが重なり、金魚を上から見たものを作るようになって、そこから3年後には金魚だけを専門にすることに決めました。
結果、升の中に樹脂を流し込み、その上に水性絵の具で絵を描き、その上にまた樹脂を流し込み絵を描く、ということを繰り返して、絵が層をなすことで上から見るとまるで生きているかのような金魚が出来上がったそうです。
それでも始めた頃は作品の見栄えはそこまで複雑でなく、単純でした。それでも売れていくため、できるだけ多く作ろうとして、自分を見失いそうになってしまったことも。ある時を境に、自分はアート作品を作りたい、ということに気づき、大量生産的な作り方をやめて、一つひとつに時間とエネルギーを込めて製作するようになりました。
そこから作品の質もレベルも上がり、アーティストとしての地位を確立していきました。このような紆余曲折の人生を余すところなく、展示しているのが今回の「深堀隆介展 水面のゆらぎの中へ」展で、全体が6つの章で構成されていて、深作さんのアーティスト人生を時代ごとに表現しています。
開催概要
深堀隆介展 水面のゆらぎの中へ | |
会期 | 2025年7月5日(土)~9月7日(日) |
会場 | あべのハルカス美術館(大阪市阿倍野区阿倍野筋1-1-43 あべのハルカス16F) |
開館時間 | 火~金/10:00~20:00 月土日祝/10:00~18:00(入館は閉館30分前まで) |
観覧料 | 一般/1,600円、大高生/1,200円、中小生/500円(税込) |
問い合わせ | 06-4399-9050(あべのハルカス美術館) |
展覧会公式HP | https://fukahori-exhibit.jp/ |

