こんにちは、ぱぱ記者Kenです。
草間彌生さんや村上隆さんの作品にも負けないパワフルなアート展が心斎橋PARCOで開催されています。
日本だけでなく世界でも活躍している50名以上のアーティストの作品約450点を揃えたART SHINSAIBASHIは、大丸心斎橋店が主催している大型アート展で、今回で9回目。
コンセプトは第1回目から変わらず「アートを身近に感じて欲しい」。これまで無数のアート展や展覧会を取材してきた私の想いとも共感するコンセプトなので、幅広く多くの人に来場してもらいたいアート展です。
メイン会場は心斎橋PARCOの14階で、同フロア内に2つの会場があり、各会場の中がテーマやアーティストごとに分かれています。
DAICHI MIURA DIALETHEISM 三浦大地特集第一会場に入ると今回のアート展の目玉的存在の三浦大地さんが生み出した作品がお出迎えしてくれます。絵画だけでなく立体物も!
等身大に近いサイズのJosie(ジョシー)のオブジェは1体から購入可能。
元々ファッションデザイナーだった三浦さんが当時から描いていたJosieというキャラクターを描いたものが中心。顔の表情は皆同じですが、髪型が少しずつ違っています。
Josie以外にも日本画で使用する岩絵具を使って描いた作品も一見の価値あり!
若者だけでなく老若男女幅広い層に支持されているそうです。
〜ローラーアートの世界〜さとうたけし展三浦大地さんの隣にスペースを取っていたのはさとうたけしさんの作品群。ローラーアートと呼ばれる彼の手法は、筆などを使わず、全てをペイントローラーだけで描き出すというもの。
四季の花を描いた作品はどう見てもローラーだけで描いたとは思えないほど細部まで丁寧に描かれています。見ていて吸い込まれる様な感覚になるほどエネルギーが溢れ出ている作品でした。
さとうさんは、1月26日午後3時からライブペインティングイベントを開催します。展示作品の前にあるスペースで1時間弱で新たな作品を生み出すそうです。予約も不要なので興味のある人はぜひ鑑賞しに行ってください。
お二人の展示スペースの奥には村上隆や草間彌生、ダミアン・ハースト、INVADERなど超一流アーティストの作品が展示されていて、こちらも見応え抜群。
ライカ大丸心斎橋店まいけるひとし写真展大御所スペースを抜けると全く雰囲気が変わります。そこは老舗のカメラメーカーとして有名なライカの世界。空港の上空からターミナルと駐機している飛行機を撮影した空撮写真が12枚展示されています。薄日が差し込む世界と人工の照明の絶妙なバランスや、写真のフレームのサイドギリギリの部分の選び方など撮り手のこだわりを感じる作品ばかり。特別に許可を取ってヘリコプターで撮影スポットの上空約1500メートルにいき、そこで命綱で繋がれたカメラマンのまいけるさとしさんが、自分の目で見ながら望遠レンズを駆使して自らの手で撮影したのがこれらの写真。
照明の光が反射してライカのカメラで撮影した写真の実力がうまく伝えられないのが歯痒い。
カメラ機材の展示もあるのでカメラ好きは絶対、そうでない人もぜひ、自分の目でこれらの作品を見てほしい。
第一会場を出て第二会場へ向かうとそこにはまた違ったアートの世界が広がっています。
NEW YORK ART ニューヨクで活躍する現代アーティストたち入り口付近はニューヨークをベースに活躍しているアーティスト4名の作品が展示されています。
90代でもまだ現役で活躍されている篠原有司男さんを中心に、CJ・コリンズさん、北出健二郎さん、アンドリュー・チャンさんなど、油彩から版画、陶芸まで多彩な作品が出展されています。
その奥には3人のアーティストのエリアがあり、パワフルで圧倒されそうな作品たちが展示されています。
フランチェスコ・マッツィ特集イタリア出身で大阪にもアトリエを持つフランチェスコ・マッツィさんの作品はかなりユニーク。作品全体をみると、額縁よりキャンバスが前に出ている構造になっていて、キャンバス地の上に純金や銀彩を織り交ぜて油絵具で描いています。また、キャンバスの上に薄い大理石を置き、そこからデザインを削り出しているので、「立体的な絵」になっています。
使用している材料が自然の素材なので、自然光が当たる場所に掛けておくと、時間と共に表現される色が微妙に少しずつ変化していきます。他にもイタリア人で日本が好きということで日本の影響を受けている作品も。
全体的にイタリア的でカラフルな色使いなので、見ているだけで元気になりそうな作品たちでした。
裕人礫翔「月光礼賛」展京都の西陣織の伝統工芸士でもある裕人礫翔(ヒロトラクショウ)さんは、箔を貼る技術を活かして独自のアート世界を創り上げています。全ての作品が繊細で伝統工芸士の技を余すところなく使用しているのがわかります。
展示スペースの真ん中に置かれていたのは屋久杉を輪切りにしたものに金箔などを使ってデザインを施して、レジンという素材で周りを固めてテーブルに仕上げたもの。透明で気泡や不純物などが一切ないのが特徴で、そのお陰で金色や緑色がとても映えて見えます。
アート作品として飾ってもよし、実用品としてテーブルに利用してもよし、ということでした。
また、裕人さんは、売れないアーティスト時代に月に魅了され心が救われたことがあるので、月を描くことに強い拘りを持っています。今回も月をモチーフにしたオリジナルの作品をこの展示会のために作成してきたそうです。金箔や銀箔を貼って月面に花や緑を表現しているのですが、裕人さんの作品も光の当たる角度などで見える色が変化する様になっていて、いつまで見ていても飽きない、そんな作品でした。
文化財などの修復師としても実績があるため、その修復作業を通じて体験したことを作品に反映させ、何百年も前に貼られた金箔が時を経てくすんでしまった状態を意図的に再現し、新作なのに年代物の作品にみえる様な仕上がりにしたものもあります。
京都の人は奥が深い!
青柳美扇の世界青柳美扇さんは世界10カ国以上で書道パフォーマンスを披露する大阪府出身のアーティスト。実際は書道だけでなくポップアートとの掛け合いや3Dデジタルアートとの融合など、斬新で最先端なアート作品を創り出しています。
和装姿で筆を振り、大きなキャンパスに漢字一文字を描くのが青柳さんの作品の特徴。アトリエなどで作品制作する時は何枚も描いてベストな出来のものを最終的に選んでいるそうですが、ライブパフォーマンスでは、描く文字の姿をイメージし、本番までに練習はするものの、当日は一発勝負で一気に描きあげるので、唯一無二の作品になります。
会場には、VRゴーグルを装着して空中に描いた文字やデザインからデータを作成し、それを3Dアートとして出力した立体作品も展示されています。
開催初日のオープニングに合わせて取材に行ったのですが、オープンから1時間もしないうちに70万円ほどする彼女の作品2点を購入された方がおり、青柳さんの人気の高さを感じました。私も懐にゆとりがあれば購入したかったです。
心斎橋PARCO14階以外にも、大丸心斎橋店本館1階御堂筋側イベントスペースや同じく本館8階のアールグロリューギャラリーオブオーサカでも作品が展示されているので回遊してみて下さい。
今回の会場を巡っていて気付いたのは、他で開催されるアート展ではギャラリー単位の出展だったり、ギャラリー名が入ったサインボードがあったりするのですが、そういうものは一切なく、全体が1つのアート展という風に感じる構成になっていて鑑賞しやすかったこと。
実際10のギャラリーが作品を展示しているそうですが、アート展全体としては大丸心斎橋店が編集をしている、ということを前面に押し出したいということで、この様な形になったそうで、担当者のセンスの良さを感じました。
全体的に力のある作品が多く、どのアーティストの作品も見応えがあり、パワフルでポジティブなエネルギーを撒き散らしていたので、この会場に来るだけでも元気になれるかもしれません。
週末にはライブパフォーマンスも開催されますし、在廊するアーティストも多そうなので、作品を見るだけでなく、実際にアーティストに色々お話しを聞ける機会もたくさんありそうです。
脳みその刺激になることも間違いないので、普段アートに触れる機会の少ない人にはぜひ来場してもらいたいアート展でした。
■第1会場 心斎橋PARCO 14階 PARCO GALLERY/SPACE 14「コンテンポラリーアートコレクション」1月23日(木)→27日(月)(最終日は17時閉場)
■第2会場 大丸心斎橋店 本館1階 御堂筋側イベントスペース( 1月15日(水)→28日(火) まで)
■第3会場 大丸心斎橋店 本館8階 アールグロリュー ギャラリー オブ オーサカ( 1月15日(水)→28日(火) まで)