こんにちは、ぱぱ記者Kenです。
真っ赤なテントの様な外観に西陣織の紋様が描かれたド派手はパビリオンが、飯田グループホールディングス株式会社と大阪公立大学が共同出展する「飯田グループ×大阪公立大学共同出展館」。
今回の万博で唯一大学が参加しているパビリオンで、おまけにその個性的な外観がギネスにも認定され話題が豊富。しかしこの共同パビリオンの本題はそこではなく、館内のコンテンツであり、外観を構築した伝統工芸の技術とその継承という芯のしっかりしたものがテーマになっています。
この日は万博初日ということで、オープニングセレモニーの点灯式も開催され、飯田部ループ社長や大阪公立大学理事長、建築家の3人とともに、パビリオンの公式アンバサダーの歌舞伎俳優の市川團十郎さんも参加しました。
パビリオン前の真っ赤な三角形の屋根は扇を形取ったもので、上から見るとその様子がよくわかります。
館内に入ると、まず3分ほどでコンテンツの概要の説明を受け、それからメインの展示スペースへ移動します。
展示スペース内では、飯田グループが考える「誰もがあたり前に、健康に長く、安全・快適に暮らせる未来社会」が描かれていて、未来の都市の姿やAIで繋がった家の姿を展示。
展示の目玉は、巨大なジオラマで表現した未来都市「ウエルネススマートシティ」。
長径 24mの圧倒的なスケールのジオラマが真ん中にあり、それを取り囲む様に、人工光合成について、未来の家のデザインコンペのパネル、未来の住宅であるウエルネス・スマートハウスのモデルハウス、そして巨大な横16K、縦8KのLEDスクリーンによる説明映像が配置されています。
今回は同館の廣川敦士館長から詳しい説明を聞きながらの内覧でした。実際はもっといっぱいお話しを聞いてきたのですが、その中から超大事なことだけ纏めてみました。
人工光合成人工光合成は、自然の光合成のメカニズムを真似て、二酸化炭素と水素を結合させることで蟻酸という有機物を生成して保存しておく技術。
未来社会では水素をエネルギーとして利用したいけど、そのままだと扱うのが難しく、危険性もあり、維持するには莫大なスペースが必要なので、水素の代わりに蟻酸で保存することを考案したそうです。水素に二酸化炭素を加えて蟻酸にして蓄積すると約500分の1にの量に圧縮出来、安定感も増すそうです。
水素を使用して生活する未来の住宅では、人工光合成を行う装置を各家庭に設置しておいて太陽光で人工光合成を行い、水素を蟻酸にして貯めておいて、必要な時にまた蟻酸を分解して使用するという形を目指します。また、その時に発生する二酸化炭素はまた蟻酸の生成の際に活用し、このサイクルを繰り返すことで二酸化炭素を減らせます。
現状、この装置は世界最高レベルの蟻酸生成装置になります。 現在、このシステムは既に個別の技術は完成していますが、システム全体ではまだ実験中で、隣の実験棟で継続的に試験を行っている状態だそうです。
今後はこちらのモックアップ型のものを普及させたいと考えているそうです。
ウエルネス・スマートハウスウエルネス・スマートハウスは、生活空間で未病維持につなげる未来の住宅。AIを活用して日常の健康状態を確認することで健康維持や予防医療などに繋げ、元気に長生き出来る体と心を作ることを目指した仕組みを組み込んだもの。
家に設置されたAI搭載ミラーやセンサーで日々健康情報を収集し、そこから健康状態をチェック。状態に合わせて、リビングでは必要な運動の種類や量、キッチンでは補充すべき栄養分や食事のレシピなどをアドバイスしたり、トイレでは便から健康状態を分析する、いわば検尿や検便のテストが毎日行えるAIトイレが住人の健康をサポートします。
またこれらの情報は外部ネットワークで医療機関などとも共有が可能なため、万が一の際にはこれらのデータがとても有効なツールになります。
ウエルネススマートシティ長径 24m、短径 15mの未来都市ウエルネススマートシティは飯田グループが描く未来の都市の姿。人工光合成の技術を使って、自宅に設置した太陽光パネルで電力ではなく水素を発生させ、誰もがエネルギーとしての水素を気軽に利用出来る社会。スマートハウスでAIが健康管理してくれる住宅。空飛ぶ車が一般家庭に普及した世の中。各所にドローンの基地があったりする都市がウェルネススマートシティ。
また、木造住宅を建てている飯田グループとしては、未来には住宅だけでなく、超高層木造ビルを建てたいという想いを持っていて、強化木材で建てる高さ300メートル級の高層建築物を目指しています。今回のジオラマは実際の80分の1スケールで製作されていて、中に聳える超高層木造ビルの高さは4メートル。実釈になおすと324メートルの建物になります。流石に2050年までに達成出来るかわからないそうですが、それよりも低い建物なら可能だと思うという力強い言葉がありました。
他にも大阪公立大学の大学生と飯田グループの設計士に自由な発想でデザインして描いてもらった未来の家の図面を描いたパネル展示も行われています。
どれも図面を見る限り未来的すぎて実現できそうにない気がしますが、中には実際に建てられそうなものもあるとか。流石に火星に建てる家という提案は難しいとのこと。
夢のあるパネル展示で、建築が好きな人や夢を語りがちな人などは楽しめる内容ではないかと思います。
楽しいと言えば、中央に置かれた未来都市のジオラマの中には9体のミャクミャクが隠れているらしく、スタッフや関係者さんでもまだ9体全部見つけていないそうです。私は取材の合間に3対見つけました。
子供がミャクミャク探しにハマるとこのパビリオンから出られなくなるので要注意です。
階段から2階に登ると、デッキからジオラマがパノラマでみられ、写真撮影するのに最適なポジションでした。
隣にはレストランや多目的トイレもあります。同感では2階への移動に階段以外にエレベーターがあり、車椅子や乳母車でも利用可能なバリアフリー対応です。
イベント型のどんどん進んでいくパビリオンと違い、自由観覧型なので気楽に好きな場所をゆっくりみて回れるのもポイント高そう。
西陣織のデザインが目立つパビリオンですが、中身はかなり違ったものでした。こんな世界がやってくるのか、来て欲しいなあ、と思えるそんな未来都市の姿を、生活を提示してくれています。
所要時間45分となっていますが、もっと時間をとっておくことをオススメします。


