こんにちは、ぱぱ記者Kenです。
カナダ最小の州、美食の島「フード・アイランド」と言われるプリンスエドワード島。
そのプリンスエドワード島州政府が、今まで日本では知られていなかったブランド食材の数々を披露する食のイベント『発見!未知のフード・アイランド』を2025年9月20日にカナダパビリオンで開催したので、参加してきました。
プリンスエドワード島と言えば、赤毛のアンの舞台として知られる、大西洋のセントローレンス湾に浮かぶ小さな島。その面積はカナダ全土の 0.1%で、愛媛県ほどの広さしかないにも関わらず、「フード・アイランド」と呼ばれ、農産物や畜産物、魚介類など多くの食材を生産、提供しています。
この小さな島がカナダ国内最大のジャガイモの産地で、カナダ全体の25%~30%を生産しており、国が地域ならではの特産品と保証しているほどです。また島周辺の海水温が低いことが、ロブスターやオイスターの身を引き締め、品質を高くし、北米のレストランから高い評価を得ています。酪農・畜産に関しては、牛にストレスの少ない牧草飼育が特徴で、高品質なミルクやチーズを生産、ビーフは赤身と旨味のバランスに優れています。
こうした自然環境に恵まれているだけでなく、世代を超えた生産者のこだわりと情熱そして持続可能な生産に取り組む積極的な姿勢によって、カナダの「フード・アイランド」ブランドとして、国内外での評価を高めています。
そんなプリンスエドワード島から持ち込んだ食材をふんだんに使用した料理が振舞われたので、紹介します。
ロブスター
なんと言ってもプリンスエドワード島といえばロブスターです。
同島では150年以上に渡ってロブスター漁業が続けられていて、現在45の港で1200名以上の漁師がロブスター漁を行っています。年間で春と秋に2回だけロブスター漁が解禁され、漁獲量も細かく規定され、持続可能な環境の維持に力を入れています。海水温が低いため身が引き締まっているだけでなく、高タンパクで低脂肪、オメガ酸が豊富に含まれています。
今回はロブスターロールとして試食が提供されましたが、ブリオッシュに挟まれたロブスターの身は弾力性があり、噛むと甘みが滲み出てくるほど。
マグロ
マグロも海水温が低い海を泳いでいるので身が引き締まっていて、日本近海にいるようなクロマグロなどと比べると脂分が少なく食べやすいかもしれません。
オイスター
冷たく浅い湾で育まれ、鮮度が高く、自然に持続可能な方法で生産されています。ロブスターと同じく、殻の中にしっかり引き締まった身が詰まっていて、生でも焼いても美味しく食べられます。特徴的な塩味とほのかな甘味は、島特有の海洋環境を反映しているそうです。
牛肉
意外に思ったのが牛肉。どうしてもプリンスエドワード島というとシーフードの印象が強かったのですが、今回提供されていた牛肉は小規模な家族経営の農場で、動物福祉に配慮した飼育と自然な給餌のもと生産されたもの。鉄分豊富な土壌で育つ牧草を食み、プリンスエドワード島産のジャガイモや厳選された高品質の飼育で仕上げられます。その結果、抗生物質を使用せずに育てられたトップクラスの牛肉として認定されています。
試食してみた感想は「柔らかくて、美味しい」。はっきり言ってUSDAのトップクラスの牛肉より遥かに美味しい。甘みがあって肉の味もしっかりしていました。その上栄養価も高いとなると言うことなしです。スーパーなどで見かけたらぜひ購入してみたいプリンスエドワード島の牛肉です。
ジャガイモ
何度か登場しているジャガイモもプリンスエドワード島の特産物の一つで、代表格でもあります。
カナダ最大のジャガイモ生産地で、持続可能な農業の先駆けでもあります。鉄分が豊富な土壌で栽培するため、ビタミンC、カリウム、微量栄養素などが豊富に含まれています。食用、加工用、種イモ用として栽培されたジャガイモは、世界20カ国以上に輸出されています。
今回の試食では、ジャガイモを加工し、ハッシュドポテトにして、その上にマリネされたサーモンを乗せ、トップにサワークリームを少し加える、という形で提供されました。初めて見る食べ方でしたが、ポテトの甘みとサーモンの塩味がバランスよく、また温度のあるポテトと冷えたサーモンのバランスも旨味を引き出すのに効果があったのではないかと思います。
カナダ人スタッフに確認してみたところ、普段は出てくる料理ではないが、ブランチ(朝と昼兼用の食事)の際にはよく登場する料理だ、と教えてくれました。
他にもスノークラブやムール貝のようなシーフード、ワイルドブルーベリーを使ったジュースやデザートのケーキなども用意されていて、ワインやシャンパンとともに、参加者の表情を和らげる効果を発揮していました。
2時間半弱の間に、ネットワーキングタイムがあったり、ローリー・ピーターズ氏(カナダ外務省局長/カナダ館総代表)とロブ・ランツ氏(プリンス・エドワード島州首相)が登壇し、プリンスエドワード島の魅力を、ラニア・パン・マカリア氏(プリンス・エドワード島政府)によるプレゼンテーション「カナダのフード・アイランド-プリンス・エドワード島」では島の自然環境や食材、持続可能な農業・漁業の取り組みが紹介されました。
その後、ロブスターの重さ当てクイズや、プリンスエドワード島出身のシェフ、アダム・ルー氏による料理のデモンストレーションがあって盛り上がりました。
ロブスターの重さ当てクイズを出題した、ロブスター漁師でマーケターでもあるシャーロット・キャンベル氏は、プリンスエドワード島で獲れるロブスターが如何に美味しいか、をパワフルなトークで説明してくれました。
今回もロブスターを空輸してきたそうで、今後日本での販売ルートが開拓されたら、生きたままでも瞬間冷凍させた状態でもフレッシュなまま届けられる、と語っていました。
またこの日は、会場内でのイベントが終了後、夕方18時頃からカナダパビリオンのステージエリアで、一般の来場者にもロブスターロールが振舞われ、多くの人がステージエリアに吸い込まれて行きました。後の方から、何をやっているのか覗き込んでいた若者が、「ロブスターロールが配布される」と聞いて嬉々としていたのが印象的でした。
プリンスエドワード島とロブスターの色に合わせて、この夜はカナダパビリオンは赤い照明でライトアップされ、少し幻想的な雰囲気を醸し出していました。
プリンスエドワード島が「フード・アイランド」と呼ばれる所以をしっかり体感できた時間でした。

