こんにちは、ぱぱ記者Kenです。
草間彌生による初の大規模な版画展「松本市美術館所蔵 草間彌生 版画の世界―反復と増殖―」が4月25日から京都市京セラ美術館で始まりました。
前期、後期の2回に分けて全330点の作品を展示し、展示作品は前期と後期で全て入れ替えるという壮大なものです。そのオープンを前にしたメディア向け内覧会で草間彌生の世界を体感して来ました。
会場内は6つのセクションに分けられていて、草間さんの生死感や生き様が表現した作品を集めた「わたしのお気に入り」、ニューヨーク時代から新たな作品制作の方法を編み出して表現した「輝きの世界」、草間さんの代表的作品の南瓜にフォーカスした作品を集めた「愛すべき南瓜たち」、枠内に収まらない無限の世界を表現した「境界なきイメージ」、エッジングを利用したモノクローム作品を集めた「単色のメッセージ」、そして、2004年から約4年をかけて制作されたシリーズで、黒色のマーカーペンで100号のキャンバスに描いた50点を原画としたシルクスクリーン作品を集めた「愛はとこしえ」とテーマごとに区切られています。
シルクスクリーン、エッチング、木版画、ラメなど様々な版画技法を網羅した展覧会となっており、江戸時代の浮世絵の制作技術を継承する版元と前衛芸術の「共創」で実現した富士山の木版画連作は必見の大作。草間さんが描いた元になる巨大な富士山から版画の富士山を色違いで描き出していて、全部で7色の富士山があります。
草間さんは今では誰もが知る世界的に知られるアーティストですが、地元長野県松本市で、人と違うモノを持った自分の表現に苦しみ、日本を離れて1957年、28歳でニューヨークへ移住しています。ニューヨークでは網目、水玉といった独自のイメージを確立し、約16年間、ニューヨークを中心に創作活動を行っていましたが体調や心の不調を感じ、1973年に帰国。当時は死ぬことも考えたほど悩み苦しんだそうです。
代表作に描かれる南瓜は、草間さんの実家が種苗業を営んでいて、周りにある畑でたくさんの南瓜があったため、そこからインスピレーションを得て、南瓜のその太っ腹で愛らしい姿に惹かれ、幾度も幾度も描いていたそうです。
音声ガイドでは作品の解説以外に、草間さんが肉声で苦悩の思いなども吐露されています。
草間ワールドを体感するには十分な作品数とパワーが漲った展示会になっています。
今回は前期展示作品を鑑賞して来ましたが、後期も絶対に行きたくなること間違いなしの内容でした。
図録の表紙は出品作品「南瓜」と同様の4色展開になっていて、好きな色を選べる様になっていますが、4冊とも欲しくなるのは間違いないでしょう。
開催概要
「松本市美術館所蔵 草間彌生 版画の世界―反復と増殖―」 | |
会 期 | 2025年4月25日(金)~9月7日(日) 前期:4月25日(金)~6月29日(日) / 後期:7月1日(火)~9月7日(日)) |
入場料金 | 一般:2,200円、大学・高校生:1,400円、中・小学生:600円、ペアチケット:4,000円 ※未就学児無料(要保護者同伴) |
休 館 日 | 月曜日(ただし4/28、5/5、7/21、8/11は開館) |
開場時間 | 10:00~18:00(最終入場は17:30まで) |
会 場 | 京都市京セラ美術館 新館 東山キューブ |
住所 | 京都市左京区岡崎円勝寺町 124 |
公式サイト | https://yayoikusamahanga.exhibit.jp/ |

